第18回哲学カフェ活動報告 テーマ:「コミュニティ」とは?
○日時:2022年6月25日(土)13:00~14:00
○場所:「Cafe伊太利庵堺東店」
○参加者
淡野(40代男性)
Mさん(20代男性)
Tさん(30代男性)
ウルフさん(50代男性)
○テーマ:「コミュニティ」とは?
●「コミュニティ」を巡る議論
・哲学において、古代から「コミュニティ」について様々に議論してきました。例えば、プラトンは「国家」において哲学者こそが統治者に相応しいと「哲人王」を提唱しました。また、アリストテレスは「政治学」において、人間の本質を「ポリス的動物」と定義しました。
・他にも、神や自然が定めた規範が存在するとする自然法思想、統治者は神によって選ばれたとする王権神授説など、様々な主張や理論が提唱されました。近代以降、盛んに議論されるようになる社会契約論もそういった思想の代表例でしょう。
・では、皆さんはどういう切り口で「コミュニティ」を扱ってみたいでしょうか?
●「コミュニティ」の種類と範囲
・「コミュニティ」と言っても、色々な種類があり、コミュニティ一般を扱うと議論が拡散するので、種類や規模を限定した方が良いと思います。
・確かに、小は友人や地縁の集団、大は人類全体を含むグローバル・コミュニティまで、コミュニティの種類や範囲は様々です。また、論者によっては、何をコミュニティと呼ぶかについて色々と条件をつける場合があるので、議論が混乱しやすくなるという指摘はその通りでしょう。では、皆さん、どのようなコミュニティについて議論したいですか?
・私は国家や国際社会といった大規模なコミュニティよりは、小規模な集団について話したいです。
・私も同感です。
・では、正にこの集まりのような、有志による小規模集団とかはどうでしょうか?
●「関係」と「目的」
・小規模集団にも、テンニエスが提唱したように、血縁や地縁を基盤とする「ゲマインシャフト」と有志が目的追究のために設立する「ゲゼルシャフト」とに分かれるように、種類があるように思うのですが、そこはどうでしょうか?
・リーダーシップ論やマネジメント論なんかでも、「関係維持」と「目的追究」という風に、集団や組織の性質の違いは議論されていると思います。
・理論としてはそうでしょうが、私が別に参加している読書会は、読書を「目的」とする集まりですが、読書よりも仲間と駄弁るのが楽しいみたいな「関係」も重視していますし、そんなに綺麗に分けられるものではないと思います。
●「不安」と「恐怖」
・私が思うに、人がコミュニティに惹きつけられるのは、一人で居る「不安」を解消したいからです。また、一緒に居ること、あるいは何かに帰属することが「安心」だからでしょう。
・確かに、人がコミュニティを求める心理的な要因として「不安」は大きいと思います。ただ、一人で居ることが不安であると同時に、他者に対して「恐怖」を抱くことも自然な話です。そして、正にその「恐怖」を乗り越えて、どうやって社会秩序や共同体を築くのかというのが、近代政治哲学の難問の一つである「ホッブス問題です。」
・所謂、「万人の万人に対する闘争」というやつですか?
・その通りです。「自然状態」において、人間は完全に自由であるが故に、極論すれば、互いに疑心暗鬼に陥り、暴力の応酬を誰も止められなくなります。
●「暴力」と「共感」
・ホッブスの言う「万人の万人に対する闘争」は、思考実験としては面白いです。ただ、実際の闘争は個人同士というよりは、集団の外側へ向けて行われているという印象があります。集団の内部での闘争についても、派閥闘争に代表されるように、あくまでも集団内の小集団同士が争っているというか。
・それは面白い指摘ですね。では、それらの小集団はどのようにして形成されるのでしょうか?
・それはやはり、何となく気が合うとか、何か共通性があるとか、互いに「共感」できることだと思います。
・逆に言うと、「共感」できるかどうかが、仲間になれるかどうか、引いては暴力を向ける対象になるかどうかの境界を決めるということになりそうですね。
●「契約」と「黙約」
・ただ、仲間の形成が「共感」に基づくとなると、コミュニティの形成や構築はホッブス以降の「社会契約」というよりは、ヒュームの言う「黙約」、つまり、慣習や暗黙の合意の積み重ねによるというのが実態に近いということになるでしょうか。
・友達や趣味の集まり程度ならそれで済むでしょうが、規模が大きくなるとか、継続性を担保しようとするとかなら、明確な規則や規範が必要になると思います。
・コミュニティの規模や種類が議論になるのは、そういう明確な規則や規範、それらを強制する執行機関の有無で状況が変わるかからなのかもしれませんね。
○今後の方針
・次回開催予定:7月9日(土)13:00~14:00
・次回テーマ:「共感」とは?
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