第5回哲学カフェ活動報告 テーマ:「言葉」とは?
○日時:2021年3月13日(土)13:00~14:00
○場所:「喫茶店スイス」本店
○参加者
淡野(40代男性)
Mさん(20代男性)
Kさん(30代女性)
ウルフさん(50代男性)
○テーマ:「言葉」とは?
●「言葉」の定義
・考える道具。言葉なしに考えることは不可能ではないが、かなり困難。
・伝える媒体。動物でも鳴き声で敵の来襲や味方の位置等を伝える。人間も狩りで連携するためのものとして始まったのではないか。
・共有のための媒体。言葉を通じて、文化や価値を共有する。
●「言葉」の機能
・フランスの言語学者ソシュールによれば、「分ける」ことが言葉の基本機能。
・その「分ける」という機能こそが、人間の文化の根源であり、様々なメリットとデメリットの両方をもたらしている。
●「言葉」のメリット
・思考を明確化し、複雑なことを考えることができるようになる。
・関係を強化し、複雑な協同行為ができるようになる。
・文字を含めるならば、空間や時間を超えて、情報を伝達・共有・蓄積できるようになる。
●「言葉」のデメリット
・仲間と敵を「分ける」ことで、争いの根本原因を生み出す。
・「一致」を強調することで、個々の微妙な違いを見えなくする。
・「言葉」を中心とする文化や民族ごとに、逆に違いや格差を拡大する。
●「普遍言語」
・「バベルの塔」の神話に象徴されるように、「人類共通言語」という理念は、哲学でも様々な議論を呼び起こしている。
・グローバル化の進展と、人工知能による自動翻訳技術が発展すれば、数十年後には「人類共通言語」が生まれる可能性が出てきた。
・自動翻訳技術によるコミュニケーション可能性は、「人類共通言語」と呼びえるか疑問。グローバル化の進展の結果、交流が活発化して諸言語がクレオール化(混淆化)して「人類共通言語」になってしまうものが生まれる可能性はあると思う。
・自動翻訳技術や諸言語の混淆が進んでも、個別の言語や文化の独特な概念や価値観は伝達も共有も難しいと思う。
○雑談
・思考実験でしかないが、「言語」を超えた伝達・共有手段が生まれれば、「人類=一つの知性」のような状態も達成できると思う。
・古典SFでそのような「人類意識統合」は散々議論されてきたし、1990年代のインターネット黎明期には、情報技術の発達がそのようなユートピアを夢想させたのは事実。ただし、2020年代の現在、スマートフォンとSNSの普及は、逆にそのような安直なユートピアが実現しないことを明白にしたと思う。
○今後の方針
・次回開催予定:4月17日(土)13:00~14:00
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