第0回哲学カフェ活動報告 テーマ:「哲学カフェ」とは?
○日時:2020年10月10日(土)13:00~14:00
○場所:「欄館珈琲ハウス」堺ベルヒル北野田店
○参加者
淡野(40代男性)
Mさん(20代男性)
○テーマ:哲学カフェとは?
・マルク・ソーテ著(堀内ゆかり訳)「ソクラテスのカフェ」によれば、1992年にパリのカフェで一般市民を対象として哲学的に思索する場を立ち上げ、彼はこの運動を「ソクラテスのカフェ」(café for Socrates)と呼んだ。
・日本では、1998年に大阪大学大学院文学研究科が臨床哲学研究室を発足し、「哲学カフェ」や「ソクラティック・ダイアローグ」、「子どもの哲学」といった様々な「哲学実践」の活動を知り、日本でも色々な試行を始めた。
・プラトン「テアイテトス」によれば、真理を探究するために様々な思考を生み出したり、その思考を批判的に吟味するのを支援したりするのが、ソクラテスの目指す「魂の助産術」である。「哲学カフェ」はそのような哲学的対話を現代の一般人同士で再現することを目指すものだと考える。
・ハンナ・アーレントの「人間の条件」によれば、「活動的生活」は、
活動(action/Handeln)-平等かつお互いに差異のある人間たちの間にのみ存在しうる人間が関係の網の目の中で行う行為
仕事(work/Herstellen)-特定の目的の達成をめざして行われる職人的な制作活動に象徴される目的-手段的行為
労働(labor/Arbeiten)-生物的目的のため、産出と消費というリズムにしたがって行われる循環的行為
の三つに分けることができる。「哲学カフェ」は、そのような「活動」を目指して、色々な人が、それでも対等な立場で自由に議論することだと考える。
・SNSのようなインターネットを介した対話ではなく、実際に集まって対面の対話をすることには、それなりの意味や価値があると考える。
また、最近のSNSの傾向として、共感が強調され、自分の意見が否定されることを嫌うことで、却って自由な議論がし難くなっているように感じることがある。
・アリストテレス「弁論術」によれば、三種の説得手段、
logos(ロゴス、言論)- 理屈による説得。
pathos(パトス、感情)- 聞き手の感情への訴えかけによる説得。
ethos(エートス、人柄)- 話し手の人柄による説得。
があるとされるが、「哲学カフェ」は、共感=パトスによる説得ではなく、理屈=ロゴスによる説得に基づくものだと考える。○まとめ
・普通の人向けに、場所や方法論等に拘らずに「哲学的に思索する場」を提供することを「哲学カフェ」と呼ぶこととし、これから色々と試行錯誤して行く。
・参加者の人数や希望に応じて、テーマや運営方法、開催場所などは柔軟に対応する。
・月一回の定期開催を継続することを目指す。
・色々な人が参加できるように、なるべく身近なテーマを選ぶ。
・参加費は無料。ただし、参加する際の飲食代は個人負担とする。
○雑談
・情報技術の発展により、インターネットを介したコミュニケーションは、文字情報重視から音声・映像情報重視に比重が移行しつつあるのではないか。
・SNSのインターフェイスや仕様そのものが、コミュニケーションを論理よりも共感を重視するよう誘導している可能性があるのではないか。
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